第1回主治医インタビュー 1

第1回 「リリー インスリン50年賞」 受賞者 主治医インタビュー 1

東京女子医科大学 糖尿病センター
岩﨑 直子 先生

第1回「リリー インスリン50年賞」受賞
向井 孝子 様

私が向井さんを担当するようになったのは平成5年からですので、約11年のおつきあいになります。向井さんはその当時で糖尿病を発症されて約40年の「ベテラン患者さん」で、素晴らしいことに合併症がほとんど出ておられませんでした。これからも合併症が出ないような治療を、向井さんに提案し、より良いコントロールをめざして頂きたいと思ったのを覚えています。

向井さんは自分が糖尿病であるということをしっかりと受けとめておられ、治療にはとても素直な姿勢で取り組んでおられます。病気になったことを受け入れるのはなかなか大変なことです。心の中で起こる葛藤を一つ一つ乗り越えていくのですから、時間もかかることです。向井さんも人生の様々な局面で糖尿病のことで悩まれたこともおありだったでしょうが、それらを何とか乗り越えてこられたのだと思います。他の糖尿病患者さんにとって、「大先輩」である向井さんの前向きな姿勢は、とても参考になるでしょう。

そして、長年にわたって、毎日のインスリン注射、日々の生活での管理など糖尿病治療に必要なことを、地道にこつこつと続けてこられた素直さ。頭でわかっていても、なかなかそれを実行するのは難しいことです。向井さんはご自身が納得されれば、本当に素直に実施されているようです。地域活動やご旅行など活動的な生活をおくられていますので、インスリンの打ち方や食事にしても、臨機応変な対応をされたり、時には息抜きもされているようです。ただし、基本的なところは、はずすことなくリセットできておられると思います。

今回、向井さんが「リリー インスリン50年賞」を受賞されたことで、私たち医療従事者も、向井さんの長年にわたる地道なご努力・ご苦労にあらためて感動いたしました。50年賞に該当される方には、ぜひご応募していただきたいと思います。ご自分やご家族にとっての素晴らしいお祝いとなるだけでなく、周囲の方々にも大きな感動を与えることでしょう。診察室で他の患者さんにも、「あなたも、あとXX年後には、50年賞をもらってね」とお話しています。長い治療生活には、何か目標にできることがあると良いと思います。