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バイオシミラー


バイオ医薬品とは?

バイオシミラー(バイオ後続品)とは、国内で既に新有効成分含有医薬品として承認されたバイオテクノロジー応用医薬品(先行バイオ医薬品)と同等/同質の品質、安全性、有効性を有する医薬品として、異なる製造販売業者により開発された医薬品です1)。バイオ医薬品とは、生物由来のタンパク質、また微生物やヒトおよび動物の細胞に由来する高分子の医薬品です。バイオ医薬品にはヒトインスリンや抗体、ワクチン、血液由来の医薬品および血液製剤、アレルゲン抽出物など多くの種類があります。現在、バイオ医薬品は、さまざまな疾患の検査、治療、予防に使用されています2)。

生物学的製剤(バイオ医薬品)と低分子化合物の比較

低分子化合物、単純な構造生物学的製剤、複雑な構造の生物学的製剤

バイオ医薬品は、化学合成で製造される低分子医薬品に比べ、有効成分の分子量が大きく、複雑な構造を有しています。また、微生物や培養細胞を利用して製造されるため、有効成分となるタンパク質の高次構造や翻訳後修飾(糖鎖など)の差異が生物活性や薬物動態に影響を及ぼす可能性、製造過程に由来する不純物(宿主生物のタンパク質や核酸など)が免疫原性を含む安全性に影響を及ぼす可能性があります3)。

1)「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」薬食審査発第0304007号
2) https://www.fda.gov/BiologicsBloodVaccines/default.htm
3) 山前浩一郎 ほか:PROGRESS IN MEDICINE: 2014;34(10): 1793-1803.

バイオシミラーとは?

インスリン グラルギンの場合

インスリン グラルギンBS注「リリー」 LANTUS®
会社名 日本イーライリリー株式会社 サノフィ株式会社
販売名 インスリン グラルギンBS注ミリオペン®「リリー」
インスリン グラルギンBS注カート「リリー」
ランタス®注ソロスター®
ランタス®注カート
ランタス®注 100単位/mL1)
会社名 インスリン グラルギン(遺伝子組換え)
[インスリン グラルギン後続1]
インスリン グラルギン(遺伝子組換え)
薬効分類名 持効型溶解インスリンアナログ製剤
成分・含量 1カートリッジまたはキット2)中の有効成分:
インスリン グラルギン(遺伝子組換え)
[インスリン グラルギン後続1]300単位
1カートリッジまたはキット2)中の有効成分:
インスリン グラルギン(遺伝子組換え)300単位
薬価 ミリオペン®:1,422円
カート:884円
ソロスター®:1,864円
カート:1,389円
添加物 濃グリセリン、m-クレゾール、酸化亜鉛、pH調節剤 グリセリン、m-クレゾール、塩化亜鉛、pH調節剤2成分
効能・効果 インスリン療法が適応となる糖尿病
用法・用量 通常、成人では、初期は1日1回4~20単位を(カートリッジ製剤の場合はペン型注入器を用いて)皮下注射するが、ときに他のインスリン製剤を併用することがある。注射時刻は朝食前又は就寝前のいずれでもよいが、毎日一定とする。投与量は、患者の症状及び検査所見に応じて増減する。なお、その他のインスリン製剤の投与量を含めた維持量は、通常1日4~80単位である。ただし、必要により上記用量を超えて使用することがある。
性状 無色澄明の液(注射剤)
pH 3.5~4.5
浸透圧比 約0.8(生理食塩液に対する比)
会社名 インスリン グラルギンBS注「リリー」 日本イーライリリー株式会社 LANTUS® サノフィ株式会社
販売名 インスリン グラルギンBS注「リリー」 インスリン グラルギンBS注ミリオペン®「リリー」
インスリン グラルギンBS注カート「リリー」
LANTUS® ランタス®注ソロスター®
ランタス®注カート
ランタス®注 100単位/mL1)
会社名 インスリン グラルギンBS注「リリー」 インスリン グラルギン(遺伝子組換え)
[インスリン グラルギン後続1]
LANTUS® インスリン グラルギン(遺伝子組換え)
薬効分類名 インスリン グラルギンBS注「リリー」 持効型溶解インスリンアナログ製剤 LANTUS®
成分・含量 インスリン グラルギンBS注「リリー」 1カートリッジまたはキット2)中の有効成分:
インスリン グラルギン(遺伝子組換え)
[インスリン グラルギン後続1]300単位
LANTUS® 1カートリッジまたはキット2)中の有効成分:
インスリン グラルギン(遺伝子組換え)300単位
薬価 インスリン グラルギンBS注「リリー」 ミリオペン®:1,422円
カート:884円
LANTUS® ソロスター®:1,864円
カート:1,389円
添加物 インスリン グラルギンBS注「リリー」 濃グリセリン、m-クレゾール、酸化亜鉛、pH調節剤 LANTUS® グリセリン、m-クレゾール、塩化亜鉛、pH調節剤2成分
効能・効果 インスリン グラルギンBS注「リリー」 インスリン療法が適応となる糖尿病 LANTUS®
用法・用量 インスリン グラルギンBS注「リリー」 通常、成人では、初期は1日1回4~20単位を(カートリッジ製剤の場合はペン型注入器を用いて)皮下注射するが、ときに他のインスリン製剤を併用することがある。注射時刻は朝食前又は就寝前のいずれでもよいが、毎日一定とする。投与量は、患者の症状及び検査所見に応じて増減する。なお、その他のインスリン製剤の投与量を含めた維持量は、通常1日4~80単位である。ただし、必要により上記用量を超えて使用することがある。 LANTUS®
性状 インスリン グラルギンBS注「リリー」 無色澄明の液(注射剤) LANTUS®
pH インスリン グラルギンBS注「リリー」 3.5~4.5 LANTUS®
浸透圧比 インスリン グラルギンBS注「リリー」 約0.8(生理食塩液に対する比) LANTUS®


LANTUS®は先行バイオ医薬品、インスリン グラルギンBS注「リリー」はバイオシミラーです。薬価は2019年10月時点

1)本表では、100単位/mLに関する情報は示していません
2)カートリッジ製剤をあらかじめインスリンペン型注入器に装填した使い捨て型キット

バイオシミラー(バイオ後続品)とは、国内で既に新有効成分含有医薬品として承認されたバイオテクノロジー応用医薬品(先行バイオ医薬品)と同等/同質の品質、安全性、有効性を有する医薬品として、異なる製造販売業者により開発された医薬品です1)。先発品があることから、低分子医薬品の後発品であるジェネリック医薬品と同じようなものと考えられがちですが、この二つの性質は大きく異なっています。

バイオシミラーとジェネリック医薬品(後発医薬品)の比較

バイオシミラー ジェネリック医薬品(後発医薬品)
定義 新有効成分含有医薬品として承認されたバイオテクノロジー応用医薬品(先行バイオ医薬品)と同等/同質の品質、安全性および有効性を有する医薬品 先発医薬品と同一の有効成分を同一量含み、同一経路から投与する製剤で、効能・効果、用法・用量が原則的に同一であり、先発医薬品と同等の臨床効果・作用が得られる医薬品
製造方法 バイオテクノロジー技術を用いて製造 化学合成により製造
製品特性 ●高分子化合物(タンパク質など)
●有効成分の構造が複雑(複数の機能部位から構成されるなど)
●化学合成物質に比べて不安定であり、安定化に工夫が必要
●同一性の評価が困難(同等性/同質性を評価)
●有効成分の高次構造や翻訳後修飾による不均一性の差異が生物活性などに影響する可能性あり
●宿主細胞由来不純物を含む製造工程由来不純物が免疫原性などに影響する可能性あり
●低分子化合物
●有効成分の構造が比較的単純
●安定した分子
●同一性の評価が容易
開発要件 ●独自に製法(セルライン・セルバンクを含む)を確立
●規格試験方法の設定
●安定性試験(長期保存試験など)
●有効成分/製剤の品質特性の評価+先行バイオ医薬品との同等性/同質性の評価
●非臨床試験での同等性/同質性の評価
●臨床試験[薬物動態(PK)、薬力学(PD)およびPK/PD試験を含む]での同等性/同質性の評価
●製造販売後調査の実施
●規格試験方法の設定
●安定性試験(加速試験)
●生物学的同等性試験(静注は免除)


安藤 潔 : 血液内科: 2013;67(2): 241-246.より改変

バイオシミラーはバイオ医薬品の後続品であり、複雑な構造を有するため、先行バイオ医薬品との同一性を示すことが困難です。したがって、品質特性のほか有効性、安全性について先行バイオ医薬品との同等性/同質性を検証する臨床試験が行われます。また、バイオシミラーでは免疫原性の問題等、ジェネリック医薬品と異なる要素があることから、製造販売後に安全性プロファイル等について引き続き調査する必要があるため、製造販売後調査が行われます)。

1)「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」薬食審査発第0304007号

バイオシミラーに求められる検証

医薬品区分による承認時提出データの比較

山前浩一郎 ほか:PROGRESS IN MEDICINE: 2014;34(10): 1793-1803.

「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」薬食審査発第0304007号

バイオシミラー開発プログラム1,4,5)

分析試験

品質特性の解析と比較

バイオシミラーの開発においては、独自に製法を確立し、品質特性(構造・組成、物理的化学的性質、生物活性等)の類似性の解析を行い、品質特性の同等性・同質性を確認すると共に、適切な規格、試験方法、工程管理法を設定します。

非臨床試験

バイオシミラーの開発では、新有効成分含有医薬品と比較すると、非臨床試験における検討項目の種類は限られます。しかし、バイオシミラーでもヒトを対象とした臨床試験に先立ち、有効性・安全性を確認するために必要な非臨床試験が実施されます1)

インスリン グラルギンBS注「リリー」では、in vitro薬理試験において、インスリン活性に関する薬理学的特性(受容体結合親和性、受容体活性化能、脂質合成能、細胞分裂促進活性)は、標準製剤との高い類似性が示されました。また、1ヵ月間皮下投与毒性試験(ラット)で、トキシコキネティクスや血糖降下作用、全身毒性プロファイルなどが評価され、標準製剤との類似性が確認されました2)

第Ⅰ相臨床試験

バイオシミラーの開発において、臨床試験では、まず、薬物動態における先行バイオ医薬品との生物学的同等性評価を目的とした臨床薬理試験が行われます1)

- 薬物動態試験(PK試験)
薬物動態試験とは、製剤を投与した時の体内動態を検証する試験です。バイオシミラーの場合、投与後に製剤の血中濃度を測定し、標準製剤と比較して生物学的同等性を検証します。

- 薬力学試験(PD試験)
薬力学試験とは、製剤の臨床的効果を検証する試験です。製剤の投与量や濃度と効果との関連を調べます。臨床効果を反映するマーカーがある場合は、PDを指標とした生物学的同等性を検証します。

インスリン グラルギンBS注「リリー」の開発では、第Ⅰ相臨床試験において正常血糖クランプ下におけるPK/PD試験が行われ、先行バイオ医薬品との同等性/同質性が検証されました。PKではCmax(最高血中濃度)とAUC(血中濃度-時間曲線下面積)、PDではGtot(累積グルコース注入量)とRmax(最大グルコース注入率)をパラメータとして標準製剤との比較が行われ、これらの主要パラメータが事前に規定された生物学的同等性の許容域に含まれることが確認されました3)

第Ⅲ相臨床試験

薬物動態(PK)試験、薬力学(PD)試験、またはPK/PD試験で目的とする臨床エンドポイントにおける先行バイオ医薬品との同等性/同質性が確認された場合には、有効性に関する第Ⅲ相臨床試験を省略できる場合もあります。しかし、PK、PDもしくはPK/PD試験の結果を合わせても臨床効果を反映する適切なマーカーがない場合は、有効性の同等性/同質性を検証する第Ⅲ相臨床試験の実施が必要となります。
第Ⅲ相臨床試験では、必要かつ妥当な症例数において臨床的に確立されたエンドポイントにより、事前に許容域を規定し、有効性および安全性における同等性/同質性を確認します。また、第Ⅰ相臨床試験において有効性に関する同等性/同質性が示された場合であっても、免疫原性を含む安全性に関する第Ⅲ相臨床試験を行う必要があります。さらに、臨床試験の情報は限られているので、製造販売後も引き続き安全性を調査することが義務付けられています1)

インスリン グラルギンBS注「リリー」では、2つの第Ⅲ相臨床試験が行われ、主要評価項目であるHbA1cの変化量の差が事前に規定された非劣性の許容域にあり、標準製剤に対する非劣性が確認されました。また、安全性についても標準製剤と同様であることが示されました6,7)

1)「バイオ後続品の品質・安全性・有効性確保のための指針」薬食審査発第0304007号

2) 審査結果報告書

3) Linnebjerg H, et al. Diabetes Care. 2015; 38(12): 2226-33.

4) https://www.pmda.go.jp/files/000206248.pdf

5) http://www.ema.europa.eu/docs/en_GB/document_library/Scientific_guidgeline/2013/06/WC500144124.pdf

6) Blevins TC, et al. Diabetes Obes Metab. 2015;17(8):726-733.

7) Rosenstock J, et al. Diabetes Obes Metab. 2015; 17(8): 734-741.

医薬品リスク管理計画

医薬品リスク管理計画(RMP)とは、医薬品の開発から製造販売後まで一貫したリスク管理をまとめ、医薬品リスクの管理を適切に行うようにするものです。個別の医薬品ごとに、安全性検討事項、医薬品安全性監視活動、リスク最小化活動がまとめられます。医薬品安全性監視活動とリスク最小化活動には、「通常」と「追加」の2種類の活動があります。「通常の活動」とは、全ての医薬品に共通して製造販売業者が実施する活動で、「追加の活動」とは、医薬品の特性を踏まえ個別に実施される活動です1)

安全性検討事項、医薬品安全性監視計画、リスク最小化計画

https://www.pmda.go.jp/safety/info-services/drugs/items-information/rmp/0002.html

インスリン グラルギンBS注「リリー」の医薬品リスク管理計画では、ベネフィットとリスクを評価し、これに基づいて必要な安全対策を実施することで製造販売後の安全性の確保を図ることを目的としています。また、重要な特定されたリスク(低血糖、過敏症反応、注射部位反応)、重要な潜在的リスク(投与過誤、新生物、抗インスリン グラルギン抗体産生の影響)及び使用実態下における有効性についても情報収集を行います。通常の医薬品安全性監視活動として自発報告、文献・学会情報、外国措置報告、臨床試験及び製造販売後調査より報告される有害事象症例の評価及び当局への報告を、追加の医薬品安全性監視活動として特定使用成績調査(1,000例)を行っています2)

患者さん向け「知っていますか?インスリンのバイオシミラー」

バイオシミラー・インスリンについて

患者さん向け「知っていますか?インスリンのバイオシミラー」

開発までの道のり


包括的プログラム

(インスリン グラルギンBS注「リリー」は以下、本剤/LANTUS®は以下、標準製剤と表記します)

バイオシミラーの開発では、新規のバイオ医薬品と同様に十分な品質特性解析を行います。標準製剤との高い類似性が確認された場合、さらに臨床試験において同等性/同質性の検証が行われます。本剤は、生物学的同等性試験のガイドライン、バイオシミラーの指針に準じて行われた試験データに基づくステップ・バイ・ステップでの検証を重ね、同等性/同質性を高い信頼性で証明する包括的なプログラムと総被験者1,566例のデータに基づき開発、評価されました。

インスリン グラルギンBS注「リリー」の包括的開発プログラム

包括的開発プログラム

1) Blevins TC, et al. Diabetes Obes Metab. 2015;17(8):726-733.

2) Rosenstock J, et al. Diabetes Obes Metab. 2015; 17(8): 734-741.

3) 陣内秀昭 ほか: Progress in Medicine. 2015;35(9):1497-1506.

4) Linnebjerg H, et al. Diabetes Care. 2015; 38(12): 2226-33.

これらの試験はイーライリリー社およびベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

著者には、イーライリリー 社よりコンサルタント料等を受領している者およびイーライリリー社の社員が含まれます。

薬物動態・薬力学

血清中インスリン濃度及び血糖降下作用(外国人データ)

■単回皮下投与後の血清中インスリン濃度(C-ペプチド補正)と薬物動態パラメータ

  • 対象:
  • 外国人健康成人各80例

  • 方法:
  • 24時間正常血糖クランプ法実施下で、本剤又は標準製剤それぞれ0.5単位/kgを単回皮下投与し、投与後の血清中インスリン濃度(C-ペプチド補正)を測定した。

  • 薬物動態パラメータ(AUC0-24及びCmax)について、本剤の標準製剤に対する最小二乗幾何平均値の比の90%信頼区間は80~125%の範囲内にあり、両剤の生物学的同等性が確認された。


血清中インスリン濃度(C-ペプチド補正)推移(4期クロスオーバー法)


薬物動態パラメータ(4期クロスオーバー法)

AUC0-240-24(pmol・h/L) AUC0-∞(pmol・h/L)注3) Cmax(pmol/L)注4) Tmax(hr)注3, 5) T1/2(hr)注3)
本剤 1810注1)(40) 2830(39) 112(39) 12.0 9.95(66)
標準製剤 1980注2)(36) 2930(41) 119(34) 12.0 9.76(61)
本剤 AUC0-240-24(pmol・h/L) 1810注1)(40) AUC0-∞(pmol・h/L)注3) 2830(39) Cmax(pmol/L)注4) 112(39) Tmax(hr)注3, 5) 12.0 T1/2(hr)注3) 9.95(66)
標準製剤 AUC0-240-24(pmol・h/L) 1980注2)(36) AUC0-∞(pmol・h/L)注3) 2930(41) Cmax(pmol/L)注4) 119(34) Tmax(hr)注3, 5) 12.0 T1/2(hr)注3) 9.76(61)


N=被験者数、n=パラメータ数 幾何平均値(CV%)

注1) N=79,n=156  注2) N=80,n=157  注3) 各群N=80  注4) 各群N=80,n=158  注5) 中央値



Linnebjerg H, et al. Diabetes Care. 2015; 38(12): 2226-2233(承認時評価資料)

本試験はイーライリリー社の支援により行われました。著者には、イーライリリー社の社員が含まれます。

社内資料:外国人健康成人を対象とした生物学的同等性試験(承認時評価資料)

【用法・用量】

通常、成人では、初期は1日1回4~20単位を皮下注射するが、ときに他のインスリン製剤を併用することがある。注射時刻は朝食前又は就寝前のいずれでもよいが、毎日一定とする。投与量は、患者の症状及び検査所見に応じて増減する。 なお、その他のインスリン製剤の投与量を含めた維持は、通常1日4~80単位である。ただし、必要により上記用量を 超えて使用することがある。


■単回皮下投与後の血糖降下作用と薬力学パラメータ

  • 対象:
  • 外国人健康成人各80例

  • 方法:
  • 24時間正常血糖クランプ法実施下で、本剤又は標準製剤それぞれ0.5単位/kgを単回皮下投与し、最大グルコース注入率及び累積グルコース注入量を測定した。

  • 最大グルコース注入率及び累積グルコース注入量について、本剤の標準製剤に対する最小二乗幾何平均値の比の95% 信頼区間は80~125%の範囲内にあり、両剤の生物学的同等性が確認された。


グルコース注入率の推移(4期クロスオーバー法)


薬力学パラメータ(4期クロスオーバー法)

N(n) 最大グルコース注入率(mg/kg/min) 累積グルコース注入量(mg/kg)
本剤 80(158) 2.85(46) 2580(45)
標準製剤 80(158) 2.88(41) 2710(40)
本剤 N(n) 80(158) 最大グルコース注入率(mg/kg/min) 2.85(46) 累積グルコース注入量(mg/kg) 2580(45)
標準製剤 N(n) 80(158) 最大グルコース注入率(mg/kg/min) 2.88(41) 累積グルコース注入量(mg/kg) 2710(40)


N=被験者数、n=パラメータ数

幾何平均値(CV%)



Linnebjerg H, et al. Diabetes Care. 2015; 38(12): 2226-2233(承認時評価資料)

本試験はイーライリリー社の支援により行われました。著者には、イーライリリー社の社員が含まれます。

社内資料:外国人健康成人を対象とした生物学的同等性試験(承認時評価資料)

【用法・用量】

通常、成人では、初期は1日1回4~20単位を皮下注射するが、ときに他のインスリン製剤を併用することがある。注射時刻は朝食前又は就寝前のいずれでもよいが、毎日一定とする。投与量は、患者の症状及び検査所見に応じて増減する。 なお、その他のインスリン製剤の投与量を含めた維持は、通常1日4~80単位である。ただし、必要により上記用量を 超えて使用することがある。

2型糖尿病患者における臨床試験

■海外第Ⅲ相臨床試験(ELEMENT 2試験)

  • 対象:成人2型糖尿病患者756例

  • 方法:HbA1cのベースラインからの変化量を指標とした有効性評価において、経口血糖降下薬と併用した際に本剤が標準製剤(いずれも1日1回皮下投与)に対して非劣性を示すことを検証した。本剤または標準製剤の初回投与量は、インスリン未治療の場合は10U/日、標準製剤の前治療歴がある場合は試験開始前に投与されていた標準製剤と同じ投与量(単位)とし、低血糖の発現を抑えながら空腹時血糖値が100mg/dL以下になるように、いずれの投与群でもインスリン投与量を1日1Uずつ漸増した。最大解析対象のうち、ベースラインおよびベースライン測定後少なくとも1点の測定値が存在する被験者の各評価時におけるHbA1c値を評価した(ANCOVAモデル)。

  • 主要評価項目:24週時(LOCF)におけるHbA1cのベースラインからの変化量

  • 副次評価項目:4、8、12、16、20および24週時におけるHbA1cのベースラインからの変化量、HbA1cが7.0%未満又は6.5%以下に到達した患者の割合、7ポイント血糖自己測定(SMBG)、血糖値の被験者内の変動、試験終了時の基礎インスリンの投与量、体重の変化量

  • 安全性評価項目:有害事象、低血糖、臨床検査値、バイタルサイン

  • 解析計画:HbA1cのベースラインからの変化量の差(本剤ー標準製剤)の95%信頼区間の上限が0.4%未満であった場合、本剤は標準製剤に対して非劣性であると結論づけることとした。また、その下限が-0.4%を上回った場合、標準製剤は本剤に対して非劣性であると結論づけることとした。いずれの比較でも非劣性が示された場合、本剤と標準製剤の有効性は同等であると判断した。なお、インスリン未治療集団および標準製剤前治療集団における本剤の有効性の検討はサブグループ解析として予め設定されていた。


a被験者3例(本剤)の試験が治験薬投与前に中止された。 bNは最大の症例数

BMI=体格指数、HbA1c=グリコヘモグロビン

本剤=インスリン グラルギンBS注、標準製剤=インスリン グラルギン注 、QD=1日1回投与、SC=皮下投与

試験終了時のHbA1cの変化量:主要評価項目


aNは最大の症例数

ANCOVA(国、SU薬使用の有無、基礎インスリン注射の時間[昼間または夕方/就寝時]および治療を固定効果、ベースラインHbA1cを共変量とした)

FASデータは最小二乗平均値±標準誤差、HbA1c=グリコヘモグロビン、Δ 標準製剤と本剤のHbA1c変化量の差、FAS=Full Analysis Set

※本結果は参照群(標準製剤)と本剤の非劣性を検証したもので、有効性の比較を示したものではありません。


有害事象の概要(FAS):安全性評価項目

有害事象a 本剤 (N=376b)n=(%) 標準製剤 (N=380b)n=(%)
死亡 1 (<1) 1 (<1)
重篤な有害事象 15 (4) 18 (5)
有害事象による中止 6 (2) 11 (3)
注射部位関連の有害事象 13 (4) 11 (3)
治療関連有害事象 196 (52) 184 (48)
治験薬との因果関係が否定できない有害事象 26 (7) 23 (6)
試験手順との因果関係が否定できない有害事象 6 (2) 8 (2)
疾患(糖尿病)との因果関係が否定できない有害事象 19 (5) 18 (5)
アレルギー関連の有害事象 21 (6) 27 (7)
有害事象a 死亡 本剤 (N=376b)n=(%) 1 (<1) 標準製剤 (N=380b)n=(%) 1 (<1)
有害事象a 重篤な有害事象 本剤 (N=376b)n=(%) 15 (4) 標準製剤 (N=380b)n=(%) 18 (5)
有害事象a 有害事象による中止 本剤 (N=376b)n=(%) 6 (2) 標準製剤 (N=380b)n=(%) 11 (3)
有害事象a 注射部位関連の有害事象 本剤 (N=376b)n=(%) 13 (4) 標準製剤 (N=380b)n=(%) 11 (3)
有害事象a 治療関連有害事象 本剤 (N=376b)n=(%) 196 (52) 標準製剤 (N=380b)n=(%) 184 (48)
有害事象a 治験薬との因果関係が否定できない有害事象 本剤 (N=376b)n=(%) 26 (7) 標準製剤 (N=380b)n=(%) 23 (6)
有害事象a 試験手順との因果関係が否定できない有害事象 本剤 (N=376b)n=(%) 6 (2) 標準製剤 (N=380b)n=(%) 8 (2)
有害事象a 疾患(糖尿病)との因果関係が否定できない有害事象 本剤 (N=376b)n=(%) 19 (5) 標準製剤 (N=380b)n=(%) 18 (5)
有害事象a アレルギー関連の有害事象 本剤 (N=376b)n=(%) 21 (6) 標準製剤 (N=380b)n=(%) 27 (7)


データはn (%)

a1人の患者が複数のカテゴリーに該当する場合もある。 bNは最大の症例数



承認時評価資料:2型糖尿病患者における外国第Ⅲ相試験

Rosenstock J, et al. Diabetes Obes Metab. 2015; 17(8): 734-741.より一部作成

本試験はイーライリリー社およびベーリンガーインゲルハイム社の支援により行われました。

著者には、イーライリリー社よりコンサルタント料等を受領している者およびイーライリリー社の社員が含まれます。

デバイスと使い方


ミリオペン®の特徴

インスリン グラルギンBS注ミリオペン®「リリー」の特徴

ご使用にあたっては取扱説明書をご参照ください。
写真はキット製剤のインスリン グラルギンBS注ミリオペン®「リリー」です。

デバイスの使い方-ミリオペン

デバイスの使い方-サビオ/ラグジュラ-

患者さんサポート


「前向き!」プログラムとは?

監修 奈良県立医科大学 医師・患者関係学講座 教授 石井 均 先生

患者さんのインスリン治療に対する不安や怖さ、医療費負担の心配、疾患の重大性に対する理解不足などにより、患者さんが前向きな気持ちでインスリン治療をスタートすることは難しいものとなっています。

しかし、医師が適切なコミュニケーションをとり患者さんの不安や心配を解消することで、抵抗なくインスリン導入に進むことのできる患者さんも少なくありません。「前向き!」は、そのような効果的なコミュニケーションをサポートし、患者さんに前向きな気持ちでインスリン治療を開始していただくことを目的に開発されました。
その一方で、インスリン治療を始めたとしても、処方された注射回数が守れなかったり、決められた注射の手順を飛ばしてしまうなどのことから、良好な血糖コントロールが得られなくなる患者さんもいらっしゃいます。

インスリン治療に対する患者さんのモチベーションを高め、無理なく日常生活にインスリン治療をとり入れていただくことを目的に、「前向き!」の新たなプログラムを開発いたしました。
これは、インスリン導入直後に患者さんに振り返りを行っていただくことで、インスリン治療の効果を実感してもらい、また日常生活上の疑問や不安を医療関係者と共に解決することで、治療継続をサポートするためのプログラムです。
患者さんへの働きかけの一助として、「前向き!」をご活用いただければ幸いです。

【参考書籍】

石井均:糖尿病医療学入門-こころと行動のガイドブック, 医学書院,2011
石井均:石井先生に聞いてみよう患者の気持ち 糖尿病診療よろづ相談,メジカルビュー,2010

「前向き!」にインスリン治療を開始していただくために

監修 奈良県立医科大学 医師・患者関係学講座 教授 石井 均 先生

インスリン導入に抵抗のある患者さんとのコミュニケーションをサポートするプログラムです。各種ツールをご活用いただくことで、一人ひとりの患者さんがインスリン治療に抱く不安感を軽減し、インスリン治療への安心感や意欲を高められるように働きかけることができます。

STEP3  STEP2で確認した患者さんの不安に応じて、「読めば前向き!ストーリーブック」を使って患者さんの不安を解消するための働きかけを行います。

あなたもナットク!
インスリン治療

あなたにもできるかも!
インスリン治療

毎日をもっと楽しく!
インスリン治療

あなたの不安を軽減したい!
インスリン治療

考えてみよう!
インスリン治療


<ご注意>
「読めば前向き!ストーリーブック」は、医療関係者からインスリン導入を検討されている患者さんへお渡しいただくためのツールです。

※詳しくは、解説書『前向き!~患者さんの「前向きなインスリン治療開始と治療継続」のために~』をご参照ください。

「For one」の糖尿病治療を実現するコミュニケーション
-インスリン療法の医療学- 前編

奈良県立医科大学 医師・患者関係学講座 教授 石井 均 先生

インスリン導入の適切なタイミングと、インスリン治療に対する患者さんの心理を解説します。



「For one」の糖尿病治療を実現するコミュニケーション
-インスリン療法の医療学- 後編

奈良県立医科大学 医師・患者関係学講座 教授 石井 均 先生

スムーズなインスリン導入をサポートする、前向き!プログラムについて解説します。

こころのステージと「前向き!」ツール

患者さんがインスリン治療を開始し、継続していくまでのこころの変化は、図のようなステージ型のモデルで示されます。
「前向き!」では、対象となる患者さんのこころのステージに応じて、患者さんとのコミュニケーションやサポートに使えるツールをご用意しています。

こころのステージと「前向き!」ツール

石井均:糖尿病医療学入門-こころと行動のガイドブック, 医学書院,2011より改変

【こころのステージ】別 アプローチ法

「前向き!」の効果をより高めるためには、患者さんの「こころのステージ」に応じた働きかけをすることが重要です。
ここでは、ステージ別に、患者さんのこころの状態と、アプローチのポイントをご紹介します。

【こころのステージ】別アプローチ法

患者さんがインスリン治療に抱く不安を確認します。

患者さんがインスリン治療の何に不安を感じているかを確認します。

「前向き!」にインスリン治療を開始していただくために

監修 奈良県立医科大学 医師・患者関係学講座 教授 石井 均 先生

インスリン導入に抵抗のある患者さんとのコミュニケーションをサポートするプログラムです。各種ツールをご活用いただくことで、一人ひとりの患者さんがインスリン治療に抱く不安感を軽減し、インスリン治療への安心感や意欲を高められるように働きかけることができます。

STEP2  患者さんに、自宅で注射を始めてから最初の7日間の記録をつけていただきます。

患者さんに、自宅で注射を始めてから最初の7日間の記録をつけていただきます。

STEP3  次の診察時、患者さんが記入した「インスリン治療生活7日間ダイアリー」を確認し、「応援します!あなたのインスリン治療生活」を一緒にみながら、患者さんがインスリン治療を正しく継続するための工夫を一緒に考えます。

<POINT>
「応援します!あなたのインスリン治療生活フォルダ」に、「インスリン治療生活7日間ダイアリー」と他のツールをまとめてお渡しいただくことができます。

※詳しくは、解説書『前向き!~患者さんの「前向きなインスリン治療開始と治療継続」のために~』をご参照ください。

こころのステージと「前向き!」ツール

こころのステージと「前向き!」ツール

【こころのステージ】別 アプローチ法

「前向き!」の効果をより高めるためには、患者さんの「こころのステージ」に応じた働きかけをすることが重要です。ここでは、ステージ別に、患者さんのこころの状態と、アプローチのポイントをご紹介します。

【こころのステージ】別 アプローチ法