1トルリシティの臨床的特徴とは?

トルリシティは、週1回のみの投与で優れた血糖低下効果を発揮します。また、朝昼晩のいつでも投与可能です。このように、患者さんのライフスタイルに合わせて毎週どの曜日でも投与日を決められることが、トルリシティの利点のひとつです。


効能・効果、用法・用量、使用上の注意等は、添付文書をご参照ください。


2第II相臨床試験で示された効果発現の速さ

日本人2型糖尿病患者さんを対象とした第II相臨床試験で確認されたトルリシティの大きな特徴のひとつが、速やかな効果発現でした。本試験では、食事・運動療法のみ、またはDPP-4阻害薬以外の経口血糖降下薬単独療法で血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者さんを対象に、プラセボまたはトルリシティ0.75mgを週1回、12週間皮下投与し、空腹時血糖値変化量の推移を検討しました。
その結果、トルリシティ群では2週後から、プラセボ群に比べ有意に空腹時血糖値が低下しました。

効果発現の速さ

トルリシティ群では2週後から、プラセボ群に比べ有意な空腹時血糖値の低下が示されました。

空腹時血糖値変化量の推移〔副次評価項目〕

対象
食事・運動療法のみ、またはDPP-4阻害薬以外の経口血糖降下薬単独療法を受けていた血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者72例
(被験薬投与開始1週間前のHbA1cが7.0%以上、9.5%以下)
方法
二重盲検下でプラセボまたはトルリシティ0.75mgを週1回、12週間皮下投与。経口血糖降下薬投与例は8週間ウォッシュアウトした後、いずれかの投与群に割り付けられた。
主要評価項目
12週後のHbA1c変化量
副次評価項目
HbA1c7.0%未満および6.5%以下達成率、空腹時血糖値、7ポイント血糖自己測定値、HOMA2-%B、HOMA2-%S、体重など
安全性
12週後の副作用発現率は、トルリシティ群14.3%(5/35例)、プラセボ群5.4%(2/37例)であった。
副作用の種類は、トルリシティ群では便秘および悪心が各5.7%、下痢、腹部不快感、腹部膨満、末梢冷感および末梢血管障害が各2.9%、プラセボ群では下痢および腹部不快感が各2.7%であった。
トルリシティ群における重篤な有害事象は1例、投与中止に至った有害事象は2例であった。
これらのうち1例は膵癌により死亡した(因果関係なし)。

Terauchi Y. et al. Endocr J. 2014; 61: 949
(本試験はイーライリリー社の支援により行われました)
社内資料:日本人2型糖尿病患者を対象とした
第Ⅱ相臨床試験(GBCZ試験)、承認時評価資料

3インスリングラルギンに比べHbA1cが有意に低下

トルリシティの効果を考える際、インスリングラルギンに比べ、HbA1cが有意に低下したことも忘れてはいけません。日本人2型糖尿病患者さんを対象とした第III相臨床試験では、SU薬、ビグアナイド薬、またはSU薬とビグアナイド薬の併用で血糖コントロール不十分な患者さんを対象に、トルリシティ週1回またはインスリングラルギン1日1回を追加投与して比較検討されました。その結果、インスリングラルギンに対する非劣性が示されました。群間差は-0.54%(95%信頼区間:-0.67、-0.41)であり、インスリングラルギンに比べHbA1cの有意な低下が認められました。

優れたHbA1c低下効果

経口血糖降下薬(1~2剤)への追加投与(インスリングラルギン対照非劣性試験)

HbA1cの推移HbA1cの推移

対象
食事・運動療法とスルホニルウレア(SU)薬、ビグアナイド(BG)薬の単独または併用で血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者361例
(被験薬投与開始4週間前のHbA1cが7.0%以上、10.0%以下)
方法
SU薬※1、BG薬※2の単独または併用下で、トルリシティ0.75mgを週1回またはインスリングラルギンを1日1回就寝前に26週間皮下投与。
インスリングラルギンは4~8単位から開始し、目標血糖値(空腹時血糖値70~110mg/dL)に合わせて用量を調節。
※1 :グリベンクラミド2.5~5mg/日、グリクラジド60~80mg/日、グリメピリド2~3mg/日
※2 :メトホルミン750~1500mg/日、 ブホルミン100~150mg/日
主要評価項目
26週後のHbA1c変化量
副次評価項目
HbA1c7.0%未満および6.5%以下達成率、空腹時血糖値、8ポイント血糖自己測定値、体重など
解析方法
26週後のHbA1c変化量の群間差(トルリシティ群-インスリングラルギン群)の最小二乗平均の95%信頼区間の上限が0.4%未満の場合にインスリングラルギンに対するトルリシティの非劣性が、同じく上限が0%未満の場合にインスリングラルギンに対するトルリシティの優越性が検証されるとした。
安全性
26週後の副作用発現率は、トルリシティ群29.8%(54/181例)、インスリングラルギン群2.2%(4/180例)であった。トルリシティ群の主な副作用(発現率2%以上)は、下痢8.3%、悪心7.7%、便秘6.6%、リパーゼ増加3.3%、嘔吐2.8%、食欲低下2.8%であった。インスリングラルギン群では便秘、糖尿病神経障害、異常感、注射部位内出血、末梢性浮腫が各1例に認められた。重篤な有害事象はトルリシティ群9例、インスリングラルギン群3例、投与中止に至った有害事象はトルリシティ群6例、インスリングラルギン群2例であった。死亡例の報告はなかった。

Araki E, et al. Diabetes Obes Metab. 2015; 17: 994
(本試験はイーライリリー社の支援により行われました)
社内資料:日本人2型糖尿病患者を対象とした
第Ⅲ相臨床試験(GBDY試験)、承認時評価資料

4実際に処方して実感したトルリシティの有用性

私は、トルリシティの治験に参加して、単独投与試験と経口血糖降下薬(1~2剤)への追加投与試験のそれぞれで、複数の患者さんにトルリシティを処方しました。追加投与試験では、経口血糖降下薬単独ではどうしても良好な血糖コントロールが得られない患者さんにトルリシティを処方することが多かったのですが、そのような患者さんでも1~2週間で速やかに空腹時血糖値が改善したという印象を強く持っています。そして、トルリシティの継続投与によって、全体では1.4%、当施設においてもおおよそ1.3%のHbA1cの低下が得られました。
このようなトルリシティの処方経験を踏まえると、仕事が忙しくてHbA1cが8%を超えてしまったような患者さん、本人の病識は高くしっかり治療したいと思ってはいるものの、血糖値がなかなか下がらず治療モチベーションが低下してしまっている患者さん、などが良い適応になるのではないかと考えています。トルリシティを追加することにより、治療効果を実感でき、治療モチベーションを取り戻すことが期待されるからです。

5まとめ

監修:種田 紳二先生
医療法人 萬田記念病院 副院長

トルリシティは、週1回の投与で速やかに効果を発現し、経口血糖降下薬で血糖コントロールが不十分な患者さんでも、長期にわたりHbA1c目標値を達成することが期待できるので、アドヒアランスやQOLを考慮した治療に貢献できるのではないでしょうか。より良い2型糖尿病治療を目指す上で、新しい治療選択肢になり得る薬剤だと考えます。

効能・効果、用法・用量、使用上の注意等は、添付文書をご参照ください。