Vol.3 患者さんの安心をサポートする 副作用の説明と注射手技のフォローアップ
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胃腸症状が起きる可能性は、事前に説明。
「想定内」であれば、起きた時も患者さんが慌てにくい。

GLP-1受容体作動薬の主な副作用は、投与初期にみられる悪心、便秘、下痢などの胃腸症状です。トルリシティの国内臨床試験でも悪心は投与開始早期に発現しており(図1)、持続期間の中央値は2.0日(平均値4.4日)と報告されています1)。当クリニックの患者さんでも、悪心は投与2、3日目に起きやすい傾向があります。
トルリシティは週1回投与なので、投与2、3日目に悪心があると、患者さんは1週間ずっと続くのではないかと不安になり、患者さんによってはその後の投与をやめてしまいます。しかし、事前に胃腸障害が起こる可能性や持続期間を説明して、実際に起きた時に患者さんが「想定内」と感じられれば、不安が軽減され、慌てることが少なくなります。
私の場合、「トルリシティには胃の動きをゆっくりにする働きがあるので、軽い吐き気や胸焼けは薬が働いているということ。たいしたことがなければ様子をみてください。でも、ひどいようだったらお薬を変えますよ」とお話しています。そのため、胃腸症状が出ても「先生の言っていた通りだ」ということになり、自己判断で中止されることも少ないです。
一方、胃腸症状と異なり、低血糖は患者さんが自覚していないことが多く、問診から把握しにくいという側面があります。国内臨床試験では、SU薬との併用で低血糖の発現割合が高まる傾向がみられているので(表)、SU薬を使用していた患者さんにトルリシティを導入する場合は、SU薬の減量を検討することが必要だと思います。

図1 投与時期別の悪心の発現割合(単独投与)
表 トルリシティの国内臨床試験における低血糖の発現割合  (経口血糖降下薬1剤との併用、52週後)
1つ2つの簡単な質問で、注射手技に問題がないかを継続的に確認。在宅自己注射指導管理料は患者さんの負担増につながるので、説明しておくことが望ましい。

トルリシティの専用ペン「アテオス」は操作が簡単ですが、自己注射であることに変わりはないので、問題なく投与できているかを継続的にフォローしています。
私の場合、月ごとに患者さんに尋ねることを決めていて、例えば「ちゃんとロックを外してから、お腹にあてていますか?」あるいは「冷蔵庫から出してすぐに使うと痛いかもしれませんが、大丈夫でしたか?」といったことを、その月に来院した患者さん全員に聞きます。患者さんも受診の度にあれこれ確認されたら煩わしいと思いますが、1つ2つの簡単な質問であればうんざりすることはないでしょう。でも、月ごとに質問を変えていくので、数ヵ月単位で一通りの確認ができます。
なお、トルリシティは在宅自己注射指導管理料(650点)が算定できますが、注射療法が全く初めての患者さんに導入した場合、最初の3ヵ月間は新規導入加算(580点)も算定することができます(図2)。医師にとっては指導のしがいがありますが、患者さんにとっては負担が増えることになるので、その点は患者さんに説明した方がよいでしょう。

図2 在宅自己注射指導管理料
効果の実感」が、医師・看護師にとっても患者さんにとってもモチベーションアップにつながっている。

患者さんの治療モチベーションを保ち、治療の中断を防ぐには、やはり「効果の実感」が大きな要素でしょう。
トルリシティは国内臨床試験でHbA1cの低下や目標達成率で優れた成績が報告されていますが1〜3)、実臨床でも効果の高さを感じています。患者さんもトルリシティを導入して1ヵ月後にHbA1cが下がっているのを知ると、注射に難色を示していた方も悪心が現れた方も、「血糖値が下がるなら、もう少し続けてみます」とおっしゃいます。
患者さんは患者さんなりに、この治療が自分に必要なのかどうかを評価しているということでしょう。
また、当クリニックでは看護師が患者さんの手帳に血糖値を記録していますが、彼女たちにとっても患者さんの血糖コントロールが良くなっていくのは喜びです。トルリシティを使い始めた頃は、看護師から「注射が増えると指導が大変」と言われましたが、導入時も短時間で指導でき、かつ、血糖値が下がって患者さんの笑顔が見られることで、看護師のモチベーションアップにもつながっています。

  • 1)社内資料:日本人2型糖尿病患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験(GBDP試験)、承認時評価資料
  • 1)Odawara M, et al. Diabetes Obes Metab. 2016; 18: 249
  • 2)Araki E, et al. Diabetes Obes Metab. 2015; 17: 994
  • 3)Emoto M, et al. Endocr J. 2015; 62: 1101
     (上記の試験はイーライリリー社の支援により行われました)

効能・効果、用法・用量、使用上の注意等は、添付文書をご参照ください。

添付文書