専門医が考えるトルリシティの有用性
実臨床でトルリシティを
処方して実感した有用性
監修:種田 紳二先生(医療法人 萬田記念病院 副院長)
監修:種田 紳二先生(医療法人 萬田記念病院 副院長)
トルリシティは、週1回のみの投与で優れた血糖低下効果を発揮します。また、朝昼晩のいつでも投与可能です。このように、患者さんのライフスタイルに合わせて毎週どの曜日でも投与日を決められることが、トルリシティの利点のひとつです。
効能・効果、用法・用量、使用上の注意等は、添付文書をご参照ください。
日本人2型糖尿病患者さんを対象とした第II相臨床試験で確認されたトルリシティの大きな特徴のひとつが、速やかな効果発現でした。本試験では、食事・運動療法のみ、またはDPP-4阻害薬以外の経口血糖降下薬単独療法で血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者さんを対象に、プラセボまたはトルリシティ0.75mgを週1回、12週間皮下投与し、空腹時血糖値変化量の推移を検討しました。
その結果、トルリシティ群では2週後から、プラセボ群に比べ有意に空腹時血糖値が低下しました。
トルリシティ群では2週後から、プラセボ群に比べ有意な空腹時血糖値の低下が示されました。
Terauchi Y. et al. Endocr J. 2014; 61: 949(本試験はイーライリリー社の支援により行われました)
社内資料:日本人2型糖尿病患者を対象とした第Ⅱ相臨床試験(GBCZ試験)、承認時評価資料
トルリシティの効果を考える際、インスリングラルギンに比べ、HbA1cが有意に低下したことも忘れてはいけません。日本人2型糖尿病患者さんを対象とした第III相臨床試験では、SU薬、ビグアナイド薬、またはSU薬とビグアナイド薬の併用で血糖コントロール不十分な患者さんを対象に、トルリシティ週1回またはインスリングラルギン1日1回を追加投与して比較検討されました。その結果、インスリングラルギンに対する非劣性が示されました。群間差は-0.54%(95%信頼区間:-0.67、-0.41)であり、インスリングラルギンに比べHbA1cの有意な低下が認められました。
経口血糖降下薬(1~2剤)への追加投与(インスリングラルギン対照非劣性試験)
Araki E, et al. Diabetes Obes Metab. 2015; 17: 994(本試験はイーライリリー社の支援により行われました)
社内資料:日本人2型糖尿病患者を対象とした第Ⅲ相臨床試験(GBDY試験)、承認時評価資料
私は、トルリシティの治験に参加して、単独投与試験と経口血糖降下薬(1~2剤)への追加投与試験のそれぞれで、複数の患者さんにトルリシティを処方しました。追加投与試験では、経口血糖降下薬単独ではどうしても良好な血糖コントロールが得られない患者さんにトルリシティを処方することが多かったのですが、そのような患者さんでも1~2週間で速やかに空腹時血糖値が改善したという印象を強く持っています。そして、トルリシティの継続投与によって、全体では1.4%、当施設においてもおおよそ1.3%のHbA1cの低下が得られました。
このようなトルリシティの処方経験を踏まえると、仕事が忙しくてHbA1cが8%を超えてしまったような患者さん、本人の病識は高くしっかり治療したいと思ってはいるものの、血糖値がなかなか下がらず治療モチベーションが低下してしまっている患者さん、などが良い適応になるのではないかと考えています。トルリシティを追加することにより、治療効果を実感でき、治療モチベーションを取り戻すことが期待されるからです。
トルリシティは、週1回の投与で速やかに効果を発現し、経口血糖降下薬で血糖コントロールが不十分な患者さんでも、長期にわたりHbA1c目標値を達成することが期待できるので、アドヒアランスやQOLを考慮した治療に貢献できるのではないでしょうか。より良い2型糖尿病治療を目指す上で、新しい治療選択肢になり得る薬剤だと考えます。
効能・効果、用法・用量、使用上の注意等は、添付文書をご参照ください。