糖尿病患者の海外旅行時の注意点


監修
東京薬科大学実務実習教育センター 秋山 滋男先生

インスリン療法を行っている糖尿病患者さんも、健康な人と同様に旅行を楽しむことができます。
しかし、海外旅行の場合は、長時間にわたる飛行で、同一の狭い環境のもとで過ごさなければなりません。
特に、インスリン療法を行っている場合は、食事の時間や食事の内容、注射する時間など様々な点に注意する必要があります。
航空会社39社に対して行った、航空機内でのインスリン注射や機内食などに関するアンケート調査(2006年に実施)の結果に基づき、海外旅行の際に知っておくとよいことをまとめました。

海外旅行の前に〜旅行の準備〜

  • 1. 航空会社へは、あらかじめインスリン注射をしていることを伝えておくようにしましょう。
    またインスリンを注射する時、座席で行うことができない航空会社もあるため、座席を化粧室の近くもしくは、通路側にとるようにしましょう。(ロングフライト血栓症(エコノミー症候群)の予防という観点からも、移動しやすい通路側の座席をおすすめします)
  • 2. ほとんどの航空会社は糖尿病食の機内食を用意することが可能ですが、事前の申し込みが必要です。
    申し込みの際に、あらかじめ食事のエネルギー、食事の配膳時間のめやす、食事の回数などを確認しておくとよいでしょう。
  • 3. 自己注射剤は通常、手荷物として機内に持ち込むことができますが、航空会社により運用が異なる場合がありますので、事前に各航空会社に直接ご確認、ご相談ください。機内においても適正な温度管理をお願いします。お預かり手荷物や貨物として預けた場合、凍結するなど温度管理がなされない場合がありますのでご注意ください。
    証明に必要な書類などの準備については、主治医の先生に相談しましょう。
  • 4. インスリンを注射する時は、皮膚を消毒するためのアルコール綿が必要です。
    機内には用意されていませんのであらかじめ携帯しておくようにしましょう。
  • 5. 低血糖の時に対処できるよう、ブドウ糖あるいは糖質の入った清涼飲料水を携帯しておきましょう。
    (清涼飲料水は、セキュリティチェック後に購入してください)
  • 6. 時差がある場合、注射計画表があると便利です。あらかじめ主治医と相談しておくようにしましょう。
  • 7. 航空会社に対して糖尿病であるということを証明する、日本糖尿病協会で発行している英文カード「Diabetic Data Book」を活用されるのも良いでしょう。
    (Diabetic Data Bookは表紙には糖尿病患者であることが5ヶ国語で大きく書かれています。
    中面には、経口薬の服用やインスリン注射をしている場合のその治療内容、合併症の状況などが記入できます。)
    場合によっては「英文の診断書」が必要な場合もありますので確認しておくようにしましょう。
Diabetic Data Book

Diabetic Data Book(入手方法は主治医にお問合せ下さい。)

飛行機に搭乗したら

1.インスリンを注射した後、使用済みの針は機内(化粧室やポケットボックスなど)に放置せず、必ず自宅に持ち帰るようにしましょう。

2.血糖測定器の機内での使用については、多くの航空会社で飛行中は可能としています。しかし、離着陸時は航空機の精密機器への影響が否定できないため、他の電子機器と同様に使用が制限される場合があります。そのときは客室乗務員の指示に従って、使用可能な時間にのみ行うようにしましょう。

携帯品チェックリスト

  • 常備薬(酔い止め、便秘薬、整腸剤、かぜ薬など)
  • インスリンペン型注入器及び注射針(予備も用意)
  • 血糖測定器具および試験紙やその他の備品
  • 血糖値測定器具の電池の有無の確認
  • アルコール綿などの消毒液
  • 使用済みの注射針、血糖測定用針を廃棄する容器
  • ブドウ糖やビスケット、スナック菓子(低血糖対策)
  • 血糖測定記録手帳(自己管理ノート)
  • 英文カード(Diabetic Data Book)、糖尿病連携手帳
  • 処方せんのコピー、薬の袋、薬の説明書
  • インスリン注射計画書
  • 診断書(英文)
  • 医療保険証
  • 海外旅行傷害保険証書

携帯品チェックリスト ダウンロード(PDF形式:38KB)

航空会社情報

インスリンの持込方法や、機内食に糖尿病食があるかなど、各航空会社によって異なりますので確認しておきましょう。

航空会社の情報(連絡先など)

エアラインプロフィールHP(地球の歩き方) http://airline.arukikata.co.jp/

もしなにかわからないこと、不安なことがあるときには主治医、看護師、薬剤師等に相談するようにしましょう。